ワークショップ
アジアの社会的投資の
エコシステム構築の挑戦 -台湾と日本の比較分析-
(2021年国際交流基金助成事業)

国際交流協会知的交流会議助成プログラム事業である本ワークショップは、2022年3月22日にオンラインで行われました。 2020年に設立され、台湾でのインパクト投資を牽引する「台湾影響力投資協会(TIIA)」またシンガポールを本部にアジア各国で活動するAVPNからのスピーカーを迎え、日本ではあまり情報のない台湾を含む、アジアにおけるインパクト投資についての情報共有をし、潜在的な協働関係について議論を深めました。トピックは以下の二つです。

それぞれの発表のスライドはダウンロードいただけます。

  • MITにおいてシステム・アプローチの領域で博士号を取得したDr. Joe Hsuehから、GSGの設定した共通フレームワークに基づいて、社会的インパクト投資におけるエコシステム分析の結果が発表に続いて、日本と台湾の登壇者によって、日台の社会的インパクト投資エコシステムの比較が行われ、今後の研究・実践の方向性について議論が行われました。
  • 1. Using System Approach to Mobilize Impact Investing(2.8MB)
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    Joe Hsueh 氏 Executive Director and Chair of the International Liaison Committee, TIIA CEO & Co-Founder, Systems,Impact Multi-Family Office (SIMFO)
    2030年までにSDGsを達成するためには、個別の変化ではなく、システム的な変化が必要であり、そのためにはシステム的な思考(System Thinking)に基づいたシステムアプローチが必要だと主張するHsueh氏。発表では、システムマップを作成した具体的な事例も紹介。また、GSGと作成したインパクト投資を促進するためのシステムマップは、インパクト投資におけるエコシステムの構築を目指すのに、大きな示唆を与えてくれます。
  • 2. Using System Approach to Mobilize Impact Investing
    - Taiwan Experiences(1.1MB)
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    Ray Chen 氏 Vice-Chair of Taiwan Impact Investing Association/President, B Current Impact Investment
    Chen氏は、Hsueh氏が紹介したシステムアプローチが台湾でどのように活用され、台湾におけるインパクト投資のエコシステムの構築に寄与したのかを紹介。行政やインパクト投資の実務家など多くのステークホルダーをどのように巻き込んできたのか、これからどこに向かうのかについて具体的に紹介。これからエコシステムを構築しようとしている国にも参考になる内容です。
  • 3. Impact Investing Ecosystem in Japan(1.6MB)
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    伊藤 健 氏 特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン 代表理事 / AVPN 東アジアディレクター
    日本のインパクト投資の市場は、近年大きな成長を見せる中、日本のインパクト投資のエコシステム構築において、投資家や金融市場からの要請に加え、行政の果たした役割について指摘。インパクト投資をめぐる国際的な議論を背景に、異なるステークホルダーが協力して、基盤を構築してきたことに触れ、今後の課題にも触れました。
  • 社会的インパクト投資の必要条件となるインパクト・マネジメント(IMM)について、AVPNによる研究活動として、IMMのアジアでの実践状況についてリサーチを実施したKavita Tatwadi氏から、リサーチによって得られた、アジアにおけるIMMの最新動向と課題についてお話を頂きます。
  • 1. HOW AVPN MEMBERS ARE PRACTICING IMM(791KB)
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    Kavita Tatwadi 氏 Product Manager, Impact Measurement and Management at AVPN
    AVPNで実施したIMMリージョナルスタディの中間報告となった今回の発表では、20社のAVPNのメンバー組織に対するインタビューを元に、アジアにおけるIMMの概要と課題が述べられました。発表では、①IMMの戦略策定 ②インパクト評価と管理 ③パフォーマンス・マネジメントについてのベストプラクティスとプロセスが紹介されました。
  • 2. Impact Measurement and Management (IMM) Practices in Asia
    -Taiwan Experiences(1.1MB)
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    Ray Chen 氏 Vice-Chair of Taiwan Impact Investing Association/President, B Current Impact Investment
    台湾を代表するインパクト・ファンドであるB Currentの代表を務めるRay氏は、台湾の行政がIMMを推進する基盤整備を始めていることに触れながら、台湾におけるインパクト投資の現状を説明。B Currentのインパクト投資におけるIMM手法を紹介しました。
  • 3. Impact Measurement and Management Practice in Japan(1.6MB)
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    伊藤 健 氏 特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン 代表理事 / AVPN 東アジアディレクター
    日本のインパクト投資マーケットの進展とともに、進化してきたIMMについて、その発展経緯をを解説。日本におけるIMMについては複数のガイドラインが発表されるなど、IMMの実践がある一方で、実施コストや工数の面での課題があることを指摘、今後の発展の方向性を提示しました。